COHJU contemporary artでは10月7日(土)から11月2日(木)まで、高木智子の個展「無関係をなぞる」を開催いたします。
高木智子は、日頃目にする違和感のあるもの、気になったものをテーマに“よくわからないもの”を理解するため、繰り返しキャンバスに絵の具をのせていきます。図像と物質を行き来しながら一つの絵を仕上げる彼女の制作方法は、わからないものを確認する行為ともいえるでしょう。 近年のモチーフは「他人のつくった景色」。店先で見かけた置物や美術館にある彫刻など、新たに制作した作品を中心にCOHJU contenporary artでは初の個展を開催します。近年海外のフェアやグループ展でも高い評価を得ており、今後の活躍も期待される高木智子の新作をこの機会に是非ご高覧ください。
「世界を理解したい。と小学生のころキャベツに囲まれた帰り道などに漠然と思っていました。大きくなったら少しずつ理解できるのだろうと。しかしわからないことばかりで、頭もおっつかない。両目で見ていたものが、片目をつむるだけで変わってしまう世の中です。その事も知りませんでした。「全体」というものを大きく理解するよりも、部分のための細かな片を確認していくことしか自分にはできないな、と思いました。
私の絵は、平たい面に硬く固まる絵の具が乗ってできています。描いている時、絵の具はドロリと垂れるので、画面を地面に寝かせて絵の具を動かします。 ズルッと飛び出て下に垂れたところで絵の端ができます。油絵の具はとても気持ちのよいもので、その色と物質の関係にのめり込みますが、はっと次の一筆を考えるとき、私にはモチーフが必要になります。図像と物質をいったりきたり寄り道をして、出来上がる絵なので、いろんなものが抜け落ちて、また一枚描き始めます。
近年のモチーフは「他人の作った景色」です。なぜこんなことになったのかわからない、「置物や草木、落書き、姿」。私が関われなかったもの。同じモチーフを繰り返し描くのも、絵の具と筆で何度もなでくりまわして、よくわからないものを理解しようと確認している状態です。細かな片を確かめて、また片が出来上がる。それを繰り返していくことで絵が出来上がっていきます。
私の絵も、確認されるあらゆる細かな片になればよいな、と思います。」 ー髙木智子