COHJU contemporary artでは5月12日(土)から6月2日(土)まで、白矢幸司の個展「the world」を開催いたします。
白矢は、2010 年にロイヤルカレッジ オブ アート・ロンドン ( 陶芸・ガラス ) を修士課程を修了。現在は兵庫県を拠点に創作活動をおこなっています。アート作品のみならず、デザインワークの制作も行なっており、2017 年にはセラミックアーティストとして、スカンジナビア・ニッポン ササカワ財団より、日本人の注目若手アーティスト 5 名に選出され、日本・ デンマーク外交関係樹立 150 周年記念として奨学金を授与しました。
2016 年に COHJU で開催した個展では、シリカ (SiO2)、アルミナ (Al2O3)、カルシム (CaO) という 3 つの物質、そして水 (H2O) に素材を限定したシリーズの作品を発表。化学反応と物質の変化に焦点をあて、自然現象の美しさとそこに介在する人間の可能性を探りました。
そして、約 2 年ぶりとなる本個展では、メインビジュアルのシリーズでもある「the world」を約 10 年ぶりに発表します。 本作品は 2005 年に初めて発表した作品で、発表当初より受注生産依頼や MOMA デザインストアより商品化の話があるなど、海外からの注目度が非常に高いシリーズでした。帰国後の制作環境の都合により制作をしばらく中断していましたが、昨年より新たな制作方法に着手し、この度、帰国後初となる本シリーズの発表が実現となります。
陶磁器のもつ硬い質感と、それとは相反する今にも流れ出さんばかりの液体ような形態との組み合わせによって、無重力を感じさせる不思議な風合いを持つ特徴的な作品、「the world」。白矢の計算によって起こる物質同士の化学反応と、窯のなかで起こるコントロールの効かない作用との絶妙なバランスの中で生み出された作品は見るものに、白矢の言う、私たちが生きる世界の本質を映し出しているのではないでしょうか。