一般に日本画と言われる技術や画材を用いて、美術史自体や絵画の成り立ちといった自己言及的な概念を主題とした平面作品を制作する。

 

日本画において基礎とされる写生は、実物を観察し対象を描くことであるが、その対象を写した写真や画像もまた物体として存在している、という観点に興味を持ち、画中画や襖絵といった画像とその支持体とを同時に描くという手法を試みている。画面の中に描く対象もまた、お化けやキョンシー、ゾンビといった中身のないもの/実在しないものを描いたり、実存する歴史的美術品や文化財を描いた部分と、漫画やイラストのようなタッチで描いた部分とを並列または融合させるなど、複数の入れ子構造を取り入れることで異なる次元や物質性を横断する作品を制作している。

 

岡本秀は1995年に奈良県に生まれ、京都市立芸術大学大学院修士課程絵画領域日本画専攻を修了。現在は京都を拠点とし、漫画や日本美術をルーツとした主に平面イメージを扱って活動を行う。主な個展に、2019 年清須市はるひ絵画トリエンナーレ アーティストシリーズ Vol. 90 岡本秀展「位置につく死体、幽霊の支度」(清須市はるひ美術館、愛知、2019)、個展「次元のえんそく」(京都市立芸術大学ギャラリー@KCUA、京都、2019)、グループ展に「ジェットストリーム論法」(COHJU contemporary art、京都、2021)、「暗黙知の技術」(FabCafe Kyoto/MTRL KYOTO、京都、2019) などがある。