太田三郎は岡山県津山市を拠点に活動する美術家です。郵便切手と消印を用いた「Date Stamp」シリーズや、毎日こつこつと収集した種子を用いた切手状の作品「Seed Project」シリーズなど、「場所」「時間」「記憶」の集積をテーマとした作品の発表を続けています。
いまだ深い傷跡を残す東日本大震災の起こった2011年には、その一年の日々を刻むように、震災の起こった日から毎日、新聞の一面を使用して一枚の手漉きの葉書を制作し、一年分の葉書を集めた「Papers」を発表しました。一年分の日々を記録した灰色の葉書は、誰もが言葉を失った衝撃的な瞬間を代弁するように、静かでいて力強いメッセージを内包しています。また、戦争や原爆をテーマにした作品も精力的に制作し、太田の作品は文化庁や国際交流基金、東京国立近代美術館、広島市現代美術館といった公共機関に多数収蔵されています。