天牛美矢子は、古書店を営む両親の元に生まれ、幼い頃から書籍に囲まれて育ちました。その中で慣れ親しんだ、印字のもつ魔力を自らの制作活動に応用する作品を発表し続けています。歴史や神話から着想を得て、再構成や脚色などを施し天牛自身の新たな物語を紡ぎ、見覚えがあるがどこか新しい挿絵のようなイメージを合わせて描き起こすことで作品に落とし込みます。キャンバスではなく、布や革といった私たちの身近な素材を用いて作品にすることで、作品に宿る物語と鑑賞者の距離感をなくしていきたいとも天牛は言います。 

天牛美矢子は1989年大阪に生まれ、2015年に京都市立芸術大学大学院を修了し、現在も大阪を拠点に活動しています。実家である古書店で勤務しながら作品制作を続ける傍ら、近年ではZINEの編集・発行にも取り組み、2018年に開催されたグループ展「呪と祝」(KUNST ARZT、京都)ではキュレーターを務めるなど、多方面にその活躍の幅を広げています。